今回は造形物ではなく「ジェネレーティブデザイン」というデザイン手法に焦点を当てます。
ジェネレーティブデザインってご存知でしょうか。
色々説明するよりも視覚的にご理解いただきやすいのがこちらの画像です。
画像(引用元): Autodesk Dreamcatcher example designs for a chair.
今までの直線的なデザインを一番左側の椅子だとすると、ジェネレーティブデザインを利用して椅子を再設計すると一番右のようなデザインになります。
ジェネレーティブデザインとは、簡単に言えば構造解析 + コンピューター(AI)による3Dモデルの自動生成です。人間は必要な強度や材料、保持する領域、工具の通る場所などを設定し、あとはコンピューターに任せて待つだけです。
ジェネレーティブデザインとは、コンピューターはクラウド上でものすごい演算を行い、条件を満たすデザインを無数(時には数万種類を一気)に提示してくれるというデザイン手法です。
そうです。デザインもクラウドで提案してくれる時代がやってきました!
最近では、様々な方法(3Dプリンティングはもちろん、2軸切削加工やダイカスト)による製造ができる最適形状を出力することも可能になってきています。
また、ジェネレーティブデザインの一番良いところとして、同じ強度で圧倒的に軽量化できることがあります。例えばMODEL1とMODEL3は同じ強度で、同じ椅子としての機能を持っています。が、重量が1/3以下になってます。
そして、なんと言っても見た目がかなり複雑な感じになりますね。これを切削などで加工しようと思ったら大変!なので、制限が少なく自由な形状を作り出せる3Dプリンターとの相性が非常に良いんです。
ということで、今回弊社でも渡辺鉄工様との共同開発でジェネレーティブデザインを活用してスピンドルブラケットを作成してみました。
それが、こちらです!
写真:ジェネレーティブデザインを施したスピンドルブラケット
今回は3D Printing Corporationの協力で、CFRPナイロンで造形しました。こちらのブログでご紹介したやつです!
写真の大きな丸い穴にスピンドルを固定する器具です。
どうでしょうか?
全く根拠も何もないのですが、なんとなく「大きめの膝軟骨」っぽいと思ってしまうのは私だけでしょうか。
ジェネレーティブデザインを施すと、こんな感じでちょっとばかり生命体の一部ような雰囲気を醸し出すことが多いのです。
ちなみに、こちらのスピンドルブラケットの元になったのが以下のデザインです。ジェネレーティブデザインを施す前のデザイン(以下の写真)と比較していただければ、その効果がイメージできるかと思います。
写真:ジェネレーティブデザインを施す前のスピンドルブラケットデザイン画像
そして、今回はアルミからCFRPナイロンへの材料変更 + ジェネレーティヴデザインで、なんと85%の軽量化が実現しました!
そして、このジェネレーティブデザインは、高強度化・軽量化の用途に使えるとっても便利な手法なのですが、デザインを施すプロセスには結構スキルが必要です。実際の使用状況を踏まえつつも、大規模演算を行うクラウドコンピューティングと対話しながら、一つのデザインを仕上げます。ですので、おいそれとできるような設計手法ではないのです。
しかし!
なんと弊社ではこのデザインを実装できるようになりました。
デザインの実装は才覚ある希少な学生に依頼しておりますその学生の名は「S氏(エスシ)」です。
当然ですが本名ではないですし、写真にも本人の希望によりモザイクをかけております。
「今日はオフモードなので・・」といってモザイク希望した割には全力で変顔をジェネレートしてくれました。
さて、ジェネレーティブデザインについて色々と書いてみましたが、「あんなものは出来ないの?」「こんなものは出来ないの?」
というご相談は是非Booleanまで